不十分かつ対応の遅れが目立つ?政府と企業による気候変動への対策と強化が急務との報告書発表

• 気候変動対策に意欲的かつ、2050年までに二酸化炭素の排出量を実質ゼロにするための現実的な措置を支援している政府は現在、世界でわずか7か国です。
• 二酸化炭素排出量をすでに公表している企業のうち、前年比で排出量を削減しているのは、8社のうち1社のみ。
• 政府と企業の意欲のレベルを上げることは、2020年に開催される世界経済フォーラム年次総会(通称:ダボス会議)、および今後一年間の同フォーラムの優先事項です。
• 報告書全文はこちら。https://bit.ly/2PNCkyH
スイス・ジュネーブ、2019年12月11日-世界経済フォーラムが新たな報告書「排出ゼロに向けたチャレンジ」https://bit.ly/2PNCkyHで、新たな調査結果を発表しました。パリ気候変動協定から4年が経過しましたが、各国政府の具体的な行動は、地球温暖化による平均気温上昇を1.5℃以内に抑えるために必要とされる道のりにさえ、全く届いていない状態です。これは、最近発表された、「クロージング・ザ・ギャップ」と題された国連環境計画(UNEP)の2020年版報告書に詳しく記載されています。また、排出削減を支援している企業の大部分は、本来実施すべき行動を実施できていないのが現状。こうした状況を踏まえると、遅くとも2050年までに企業の目標を排出量実質ゼロにまで引き上げるための新たな刺激策が2020年には必要です。

この報告書は、温室効果ガス(GHG)排出量の増加を背景に発行されています。パリ協定で年3~5%の排出量削減が求められていたのに対し、排出量は過去10年間で年間平均1.5%増加しています。このままの状態が続くと、地球温暖化によって気温が2100年までに3℃~5℃増加し、地球と社会に壊滅的な結果をもたらします。一方、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)は、気温上昇を1.5℃に抑えるためにはGHG排出量を2030年までに45%削減し、2050年までに排出量を実質ゼロにすることを要請しています。

「2020年はパリ協定にとって正念場となる年であり、政府と企業が手を組んで意欲的に取り組み、目標の設定と実施を始めることが必須です。経済見通しが低迷する中、公共セクターと民間セクターの双方にとって、気候変動に関する迅速な協働が、イノベーション、成長、雇用を促進できる可能性があります。世界が必要としているのは、国民の熱意、政策の確実性、そして企業のリーダーシップを組み合わせて転換点を作ることです」と世界経済フォーラムの取締役、ドミニク・ウォーレイは述べています。

政府:気候変動対策への意欲は現在、課題の規模と比較すると低い
これまでに67か国が2050年までに排出量を実質ゼロにするという目標を発表しており、これらの国のGHG排出量は世界全体の排出量の約15%を占めています。これらの国のうち、指針と中間目標を策定しているのはわずか16か国(排出量の6%未満)。排出量を実質ゼロにするという目標達成に向け、現実的な支援ができる政策の枠組みを制定した国はさらに少なく、ブータン、コスタリカ、デンマーク、アイスランド、オランダ、スリナム、スウェーデンの7か国です。これらの国々のGHG排出量は世界全体の排出量の2%にすぎません。

とはいうものの、この報告書から、意欲的な気候変動対策の目標を設定し始めた政府もあるという進歩の兆しも見て取れます。例えば、モロッコ。わずか10年のうちに電力の50%を再生可能エネルギー源から調達することを目標に、世界最大の集中型の太陽光発電所を開発しました。またインドは現在、2022年までに設備容量を175 GWとすることを目標として、世界最大の再生可能なエネルギーのプログラムを実施しています。


国家レベルでは意欲的な気候変動対策が実施されてはいないものの、報告書では地方政府レベルで行動が実施されている兆候があると、述べられています。たとえば、南オーストラリア州は、2025年までに再生可能エネルギー率を50%まで高めることを目標にしています。米国では、8つの州が2050年までにゼロカーボンエネルギーシステムを導入することを目標にしています。

全体で見ると、パリ協定の実施開始予定の2020年11月を前に、気候変動対策に対する意欲のレベルを引き上げるために政治的な作業が数多くあるといわれており、この報告書でもその点が強調されています。

企業と気候変動対策:新しい推進力が必要
企業と排出量に関して、報告書は、解消が必要とされる意欲のギャップについても強調しています。世界的な排出量を監視する非営利組織であるCDPに排出量を開示した約7,000の企業に限定して分析を行った結果、データを完全に開示しているのはわずか3分の1。また具体的な排出削減の目標を設定しているのは4分の1、実際に前年比で排出量を削減しているのは 8社のうち1社、ということが報告書に記載されています。

短期と長期の計画にも違いがあります。報告書では、CDPに報告された全企業の排出削減目標の65%は、終了日が現時点から5年以内の短期計画とされています。


報告書はまた、平均すると短期目標・長期目標のどちらも、気温の上昇を1.5℃以下に抑えるために必要とされる目標のわずか半分であるということ、短期目標が現時点で目指しているのは30%の削減ではなく15%の削減であること、そして長期的な目標では、世紀半ばまでに実質ゼロではなく50%の削減を現時点で目指していることを明らかにしています。

ただし、業界によって多少の違いがあります。目標の開示と設定、および排出量の削減に関して最も先進的な企業は、金融およびエネルギー関連であることを報告書は示唆しています。先発者は効率向上やリスク低減、環境に優しい新規の収益によって競争上の優位性が得られることから、どのセクターでも思い切った行動をとっている企業があります。

ボストン・コンサルティング・グループ(BCG)と共同で作成されたこの報告書では、なぜ企業の気候変動対策がこれまで控えめだったのかという理由を主に2点、明らかにしています。一点目は、最高経営責任者は、今でも短期的な利益という結果を出さなければならないという圧力にさらされており、それは気候目標に対する進捗状況を示すという圧力よりも大きいという理由もの。ESG(環境、社会、ガバナンス)ガイドラインが非常に多いため、ある銀行のCEOの言葉を借りると、投資の世界では「混乱が多く、行動が伴わない」状態になっています。もう一点は、国内および国際レベルで信頼性の高い政策の枠組みがないことです。プロジェクトの一環としてインタビューした25人のCEO全員が、炭素価格が意味のあるものにならないことには、必要な速度と規模で移行を加速することはできないと述べています。

世界経済フォーラムからの行動喚起
2020年中は政府間の意欲レベルを引き上げるための外交努力、そして多国間の政治的努力に焦点が置かれます。世界経済フォーラムは、そのプラットフォームを利用して、企業間でより意欲レベルの高い行動を行うよう求めていきます。
この行動の呼びかけは2020年の年次総会から始まります。
ダボスに集うすべてのCEOが考慮すべき、会社の普遍的な目的に関する『ダボス・マニフェスト2020』の更新。企業の存在は、富を生み出す経済単位以上のものであると指摘した上で、株主の利益だけでなく、企業が環境、社会、および優れたガバナンス目標を達成する方法によって業績を測る必要があるとしています。

同フォーラムのインターナショナル・ビジネス評議会によって進行中のイニシアチブは、企業が「ビッグフォー」会計事務所の支援を受けて、標準的な財務指標を補完するものとして採用できる標準ESG原則の明確な方法論を開発することであり、温室効果ガス排出量の目標設定と追跡に関する共通のアプローチも含まれます。

また、「ライトハウス・プロジェクト」のカタログでは、世紀半ばまでに排出量実質ゼロに沿った大胆な排出削減戦略を設定し、実施しているトップ企業がいくつあるか、そして他の企業がいかにしてこの対策に参加または対策を再現できるかという具体例を示しています。こうしたライトハウス・プロジェクトには、ミッション可能なプラットフォーム、RE100、国連が招集したネットゼロアセットオーナーズアライアンス、CDSB、および気候と広範な環境アジェンダにおけるその他の企業行動の具体例50以上が含まれます。

これらの取り組みを支援するために、世界経済フォーラムは積極的な気候変動対策の支援に取り組んでいる世界最大規模の企業の指導者たち、CEO気候リーダーのコミュニティーも招集しました。

「気候変動は人類が直面する最大の脅威です。気候変動対策に真剣に取り組まない企業は、利害関係者だけでなく地球からもしっぺ返しを受けることになります」とユニリーバのCEO、アラン・ジョペ氏は述べています。

<参考>
報告書全文はこちら https://bit.ly/2PNCkyH
年次総会をこれまでで最も持続可能な総会に:wef.ch/sustainability
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